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長野地方裁判所 昭和59年(わ)250号 判決

本店所在地

長野県長野市大字穂保三七四番地一

有限会社大朋

右代表者代表取締役

三木洋子

本籍・住居

同県小県郡丸子町大字上丸子一〇一九番地

会社役員

三木忠吉

昭和一二年三月三〇日生

出席検察官

検事足立敏彦

出頭弁護人

弁護士竹内喜宜(国選)

主文

被告人有限会社大朋を罰金二、二〇〇万円に、被告人三木忠吉を徴役一年二月に処する。

被告人三木忠吉に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社大朋(以下被告人会社という)は、長野市大字穂保三七四番地一に本店を置き、旅館業(モーテル)を目的として昭和五五年五月七日設立された資本金三〇〇万円の法人であり、被告人三木忠吉は、被告人会社の取締役であって、その業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人三木忠吉は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、売上を除外して簿外資金を蓄積するなどの不正の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五五年五月七日から昭和五六年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一、三九七万三、九五二円あったにもかかわらず、昭和五六年六月三〇日、長野市西後町六〇八番地の二所在の所轄長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、五〇八万五、五三六円の欠損であり、これに対する法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告人会社の右事業年度の正規の法人税額四二七万七、二〇〇円を逋脱し、

第二  昭和五六年五月一日から昭和五七年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が九、五一四万三、五五四円あったにもかかわらず、昭和五七年六月三〇日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一五万六、五七五円であり、これに対する法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告人会社の右事業年度の正規の法人税額三、七二四万〇三〇〇円を逋脱し、

第三  昭和五七年五月一日から昭和五八年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億〇〇〇二万二、九七六円あったにもかかわらず、昭和五八年六月三〇日、前記長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、七四〇万〇一七一円であり、これに対する法人税額が四六一万二、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告人会社の右事業年度の正規の法人税額三、九三〇万四、八〇〇円と右申告税額との差額三、四六九万二、一〇〇円を逋脱したものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人会社代表者三木洋子の当公判廷における供述

一  被告人三木忠吉の当公判廷における供述

その余は、検察官請求分証拠等関係カードの標目及び立証趣旨欄記載のとおりであるから、これを引用する。

(法令の適用)

被告人会社の判示各所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人三木忠吉の判示各所為はいずれも同法一五九条一項にそれぞれ該当するところ、被告人会社の判示第二、第三の各罪につきいずれも情状により同法一五九条二項を適用し、被告人三木忠吉の判示各罪につき所定刑中いずれも懲役刑のみを選択し、被告人会社の判示各罪、被告人三木忠吉の判示各罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により各罪の罰金の合算額の範囲内で、被告人三木忠吉については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内でそれぞれ処断することとし、被告人会社を罰金二、二〇〇万円に、被告人三木忠吉を懲役一年二月に処し、被告人三木忠吉に対しては情状により同法二五条一項(一号)を適用してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑訴法一八一条一項本文によりその二分の一ずつを各被告人に負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 北澤貞男)

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